
近年、木材の特性を活かしつつ、耐久性や環境性能を向上させた「CLT」や「LVL」といった新しい木質建材が注目されています。これらは、持続可能な建築資材としても評価されており、住宅から大型建築まで幅広い用途で活用されています。
CLT(Cross Laminated Timber)とは?
CLT(クロス・ラミネーテッド・ティンバーは)日本語で「直交集成板」とも呼ばれる木質建材。複数の板材を直交させながら接着したもので、木材の弱点である方向性による強度のばらつきを克服しています。
【特徴】
1.高い強度と耐久性
・板を直交させて貼り合わせることで、縦横方向の力を均等に分散する
・コンクリートや鉄に匹敵する構造的な強度を実現
2.軽量で施工が安易
・コンクリートよりも軽いため、運搬や施工が効率的
・工場でパネルを製造し、現場で組み立てるプレハブ方式が可能
3.優れた断熱性と防音性
木材そのものの断熱性に加え、パネル構造が音や熱を遮断
4.環境に優しい
持続可能な木材資源を使用し、製造時のCO2排出量が少ない
【用途】
・高層木造建築
・住宅の壁材、床材、屋根材
【注目のポイント】
・ヨーロッパや北米中心に高層木造ビルの建築が採用されている。
・日本でも公共建築物やマンションへの導入が進んでいる
LVL(Laminated Veneer Lumber)とは?
LVL(ラミネーテッド・ベニヤ・ランバー)は、日本語で「単板積層材」と呼ばれる木質建材です。薄くスライスした木材(単板)を繊維方向に揃えて重ね、接着したものです。
【特徴】
1.高い強度と安定性
・木材の欠点である節や割れなどを補正して、強度を均一化
・鉄やコンクリートより軽量で、木材特有のしなやかさを持つ
2.加工性が高い
・必要なサイズや形状に応じて製造ができるため、幅広い用途に対応可能
3.耐久性に優れる
・加圧接着による密度の向上で、耐久性や耐湿性が向上
4.環境性能
・薄い単板を無駄なく使用するため、木材資材を効率的に活用
【用途】
・梁や柱などの構造物
・合板の代替えとしての床材や壁材
・プレハブ建築やモジュール建築
【注目ポイント】
・柱や梁として使用されることが多く、住宅や商業建築で採用が進んでいる
・大断面材や長尺材を作れるため、従来の木材では難しかった設計にも対応可能
CLTとLVLの比較
特徴 | CLT | LVL |
---|---|---|
製造方法 | 直交する方向に板材を積層 | 木材繊維方向を揃えて単板を積層 |
強度の特徴 | 縦横方向の強度が均等 | 繊維方向に強い強度 |
主な用途 | 壁材、床材、大型建築 | 梁や柱、長尺材 |
環境性能 | 持続可能な木材利用 | 木材の無駄を減らし効率的 |
加工性 | 大型パネルとしてプレハブに最適 | 細かい加工がしやすい |
これらが注目される理由
1.持続可能な建築
CLTやLVLは木材を効率的に利用し、環境への負荷を抑える建材として評価されている。森林資源を活用することで、カーボンニュートラルにも寄与する。
2.設計の自由度が向上
木材の可能性を広げるこれらの建材は、これまでの木材では難しかった大型建築や特殊なデザインにも対応可能
3.温かみのある空間づくり
木材の持つ自然な風合いや温もりを活かしつつ、近代的な洗練されたデザインが可能
CLTとLVLは、木材建築の未来を切り開く革新的な建材です。それぞれの特性を理解して活用することで、環境にも優しく、デザイン性と機能性を両立した建物が実現できます。

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